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とある士業者のブログ

とある士業者の日々を綴ります

相続 派生6

それでは遺産分割協議です。


相続人全員の出席が必要であり、その条件を満たせばほぼ万能の権限があります。


具体的には遺産をどう分けるかは相続人全員の合意のもと基本的に自由だということです。もちろん、遺言により相続人以外の人に遺産が遺贈されていた場合は、相続人全員の合意があっても覆りませんが、遺贈の相手方が相続人であれば、遺産分割協議でその内容を覆せます。


ところが、遺産分割協議はまとまると思っていると纏まらず、纏まらないと思っていると纏まるという非常に読めない結論となります。

私が思うには、そもそも絶対纏まるような案件だと税理士さんや司法書士さんに依頼があるのであって、纏まらない前提の案件が私達のところに来るということなので、こうした五分五分は当然かなと思います。

従って、全相続案件をベースにすると、やはり遺産分割協議が機能しているのかなと思います。


このように遺産分割協議は基本的に万能ですが、それゆえ纏まらない。

生前にああいう貢献をした、こういう支出をしたという話がどんどんくるのです。


そういうときはどうするか。

どこかで見切りを付けて、調停を起こします。ただし、たまに逆効果で、いきなり士業を雇って裁判を起こしたという風説が流布します。

でも、こちらとしては他にやりようがないのです。



閑話休題3

夏休みを1日頂いたことと、その結果夏休み明けに仕事対応が続いたことで、更新ができませんでした。

刑事裁判の判決、相続関係での現地対応、債権回収、不動産競売、会社訴訟、先物被害訴訟、著作権訴訟の対応をして今帰りです。


相続 派生5

進んでいきます。

資産負債が確定したら、その評価を行います。

紛らわしいので整理しておきます。

遺産の有無、つまりいかなる資産や負債があるかという問題は相続開始時が基準となります。

一方、遺産の評価、つまり存在する遺産の評価をいつの時点で行うかという問題は遺産分割時が基準となります(相続人全員の合意で相続開始時とすることは可能です)。


次に、評価方法です。実は時価とされますが時価をどう決めるのかについて明確な決まり事はなく、一般的に考えて相続人にて決めていくことになります。

不動産ですと、例えば、不動産鑑定士に鑑定してもらう、不動産業者に査定してもらう、固定資産税評価証明書の金額をつかうなどします。

上場株式や金融商品は基準時の価格でほぼ異論はないでしょう。

非上場株式は、公認会計士や税理士さんに評価してもらう、貸借対照表から一株あたり純資産額を計算するなどします。


不動産の鑑定方法は、積算価格といって再調達価格を積み上げて計算していく方法、比準価格といって、類似事例の価格と比較する方法、収益価格といって得られるであろう収益から価格を算定する方法などがあるそうです。


非上場株式の評価方法は、先ほど述べた一株あたり純資産額から計算する純資産方式、会社が生み出す収益、キャッシュフローから計算するDCF方式などがあります。

閑話休題2

今日は自治体と共催の多士業相談会に来ています。


多士業とは、税理士、不動産鑑定士土地家屋調査士司法書士行政書士、弁護士、社会保険労務士あたりだと思います。士業者が沢山おり、正確にはよくわかりません。


一人の相談者に関係しそうな士業が皆入ります。他の士業の方の話がとても勉強になるので時間の許す限り出席しています。

閑話休題

どの士業でもそうでしょうが、業務の範囲が多岐にわたり、いつ依頼が来るかんからないため、書ける時に一気に書いていかないと日常に流されてしまいます。

 

また、一日をとってみても、午前中に刑事裁判をしていたかと思えば、午後から離婚、相続など家事案件の打ち合わせをして、夕方からは会社の合併、ファイナンス、資産流動化の案件の打ち合わせをして、合間で企業からの相談に回答し、夜は裁判の書面を書いているといったことがあったります(もはや何の士業かわかってしまいますが。苦笑)

 

頭の中は、同時に10件以上の案件の対応を巡らせていたりして、どこかで頭の整理をしないと上手く仕事を回せない状態で一年中すごしています。毎年、正月から振り返ってみて、いつも季節感がありません。今年は私の感覚だと今は春じゃないの、正月からまだ3ヶ月位な感覚だよ、という感じです。

 

このブログを始めたのも頭の整理のためです。あれやこれやの案件の考え方を順次あげていくと全くまとまりがないので、そんなことはしませんが、本当はそうしたいなぁという気持ちです。

 

ちなみに、今日は、朝一が相続、次に著作権、その後は別の相続で、次が会社訴訟、その後売掛金回収をやって、登記をやってから、さらに別の相続で、次が別の会社訴訟、別の売掛金回収の対応をしてから、最後に損害賠償請求訴訟の書面を書いていました。

相続 派生4

次は負債です。

被相続人が主債務者として借りた借金、保証債務などが考えられます。

業者からの借入金などは最終返済日から5年を経過していれば時効で消滅しそうです。
但し、裁判による確定判決、和解調書などがあると、そのときから10年間は時効にかかりませんから注意が必要です。また、正確には調べないといけませんが、ある借入金について時効を援用すると、法定単純承認事由にあたりその後は相続放棄ができなくなるのでなないかと思います。時効援用は別に急ぐことはありませんから、十分に負債を調査してから行うほうがいい気がします。

次に保証債務です。
保証債務は主債務が正常返済されていれば通常は現実化しませんから、そのまま全て返済されるのであれば何も被害はありません。
ですから、資産がそこそこあるのに保証債務もある、といった場合は相続放棄したくないというケースがあります。
こうしたケースでは限定承認をすることも考えられますが、限定承認にも注意点があります。
まず、保証債務は相続税の計算上負債に含めませんから、相続税の支払いがありえることです。
次に、限定承認の場合は相続の時点で被相続人から相続人に対して資産を時価で譲渡したと扱われますから、不動産などがあると譲渡税が課税されることになります。
また、そもそもの話ですが、限定承認は相続人全員が共同して行う必要があるので相続人全員の同意がないとだめです(但し、相続放棄した人は含めません)。

とはいえ、主債務者の財務状態が不明な中、熟慮期間(相続放棄するかを検討する期間。3ヶ月)の延長申立てを繰り返していたものの埒があかず、ともかく限定承認をした上で、金融庁の出している経営者保証ガイドラインを盾に保証債務の解除を求めて成功したことはあります。使いようということでしょうか。


相続 派生3

会社の役員だった方などは、会社株式や役員による貸付が資産となることがあります。

株主であれば決算書の開示を求めます。株式の評価をするためにも必要ですし、科目明細には貸付金が記載されていることもあります。

 

ところで、役員による貸付は繊細な問題があります。

正論からいえば、会社から返済を受けて遺産に組み込むことになりますが、多額の役員による貸付がある会社はそれだけ資金繰りに苦慮しており、経営状態もよくないということがあります。結果として、返済が無理だということになると、遺産に属する債権として相続税の課税対象に含まれるのに現実には回収できず、下手をすると相続税の払いだおれとなることになります。

 

金消(金銭消費貸借契約書)があるような場合に税務調査などを受けると言い逃れはできませんが、金消がないようなケース(預金口座間で資金移動が確認できただけのようなケース。貸付か贈与かもわからない)では、深追いしないという対応もみられるようです。

 

ところで、巷では、こうした相続税の払いだおれを防ぐために、役員が生前に貸付金の出資化(DES。デットエクイティスワップ)をしておくよう勧めていることがあります。

また、貸付金の放棄をしておくという対策もみたことがあります。出資化は株主の持分比率に影響しますから、そこを考える必要がありそうです。一方、放棄の場合は会社に債務免除益が発生し、法人税の課税可能性が増しますが赤字が大きい会社ならばそれもありでしょうか。